──────────────────────── 2004年10月26日 第19号 ┌──────┐┌┐ │ ┌──┐ │└┘ ミ シ ン の 『 そうだったのか! 』 └┬┘ │ │ 〜 ミシンの嘘・ホント、それって常識?! ─────┴─┴──────────────────────────── ◎本メルマガは等幅フォントが最適です ▼ 目次 ●ごあいさつ ●まっすぐ縫えない、糸調子が取れない…(その1) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ごあいさつ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ いつもご愛読いただいているみなさん、こんにちは! そして今回からお読みいただいているみなさん、はじめまして! 島田ミシン商会の嶋田栄司です。 数あるメルマガの中から選んでいただき、ありがとうございます。 今後ともご愛読をお願いします。 そして、何人かの読者様からお見舞いをいただき、ありがとうございます。 台風23号でも再び浸水被害を受けましたが、それなりに防衛できたので、被 害を最小限に抑えることができました。 皆様のお心配りに、この場を借りて心から感謝いたします。 兵庫や京都でも大きな水害がでた他、新潟では地震で大きな被害が出ていま す。被災地の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。 このメールマガジンは、 これからミシンを購入したい、 ミシンのことをもっと知りたい、 もっと上手に使いこなしたい… そんなホームユーザーのあなたが、誤った知識で後悔しないように、 ミシンの嘘・ホントの解明を通して、ミシンの常識や活用のヒントをお伝 えしていきます。 このメールマガジンが何かの役に立って、今まで以上にホームソーイング を楽しんでいただけたら最高です。 気に入っていただけましたら、お知り合いに転送してすすめてくださいね。 ▼バックナンバーはこちら http://www.shimada-mishin.com/mailmag/backnum.html ──────────────────────────────────── ■ まっすぐ縫えない、糸調子が取れない…(その1) ──────────────────────────────────── ミシンを扱い始めて、最初に行き詰まるのが、まっすぐ安定した縫い目と糸 調子のことだと思います。 本メルマガの創刊号でも書きましたが、私、ほんの10年前は、ミシンの事な んて何も知りませんでした。大学は法学部と思いっきり文系ですし、卒業後 もバイトの延長で、エレキギターなどのLM楽器の販売や、イベントで音響オ ペレーターの仕事をしていました。 こんな私ですから、最初からミシンが分かっていたのではありません。 ですから、JUKI(株)に修行に出された訳ですが、工業用ミシンの組立工場 で試縫い課に回された時は、 ●まっすぐ縫えない! ●糸調子が分からない! ●まともな縫い見本が付けられない! そんなレベルでした。 しかし、一月後には仕事は遅いながらも、何とか最終チェックと縫い見本が 付けられるようになりました。 どのようにしてまっすぐ縫えるようになったのか、糸調子が取れるようになっ たのか、私の実体験を元にお伝えできればと思います。 ◆キレイに縫えるはずのミシンなのに… メーカー工場での最初の配属は、MO組立課と言って、縁かがり専用ミシンで あるロックミシンの組立課でした。工業用ミシンですので、縫うものに合わ せて、部品構成から調整値まで違い、細分化されています。 ですから、縫い見本は「キレイに縫えるはずの素材」で縫います。 キレイに縫えて当たり前の状況を与えられているのです。 にもかかわらず、私にはキレイに縫えない!! ハッキリ言ってショックでした……。 「こういう風にして、こんな縫い見本を付けてください」と簡単に目の前で 上司が縫った後で、同じミシンを使って、同じ事ができないんですから。 ◆ ゆっくり縫えない! 「ゆっくり縫ったら、何とかなるかなぁ」と思ったんですが、そもそもゆっ くり縫うのができません。 車の車庫入れとも似ています。アクセル全開の方が実は簡単で、半クラでゆっ くり車を動かすのが難しいように、ミシンも同じなのです。 ですから最初は、ゆっくり縫う練習からはじめました。 しかし、ゆっくり縫えても、それで縫い見本を作ったらダメなんです。実際 はもっと縫い慣れた方が使うんですから、こんなとろとろでしか縫えないの ではダメなんです。 で、アクセル全開で縫うと、まっすぐ縫えない……。伸縮性のあるメリヤス 生地なんて最悪です。縫い終わりが、ぺろんと間延びしたようになってしま います。 ◆ まっすぐ縫えない! 「まっすぐ縫えないのは、ミシンに欠陥があるんじゃないか?」と思ったこ ともありました。しかし、部品の組付具合は自分が組立課で学んだ通りです。 第一、他の人が縫うと全然問題がないのです。 何が悪いかさえ分からなかったのです。 どうにもうまく縫えないので、上司に助けを求めました。 「そもそも、ミシンはまっすぐ生地を送るようにしかできていないんだ。 ミシンが壊れているわけでもないのに、まっすぐ縫えないのなら、 生地がまっすぐ進もうとしないだけだ。 それは、自分の手で補わなくっちゃいけない。」 「ミシンがまっすぐ縫ってくれると思っていたんじゃダメだ。 自分がまっすぐ縫えるようになっていないと、 ミシンが悪いのか、お前の腕が悪いのか、分からないじゃないか。」 まず、左手の動かし方。 肘を軸に動かしていたのでは、当然、生地も左に逃げていくように送ってし まいます。縫うスピードに同調するように、まっすぐ生地を送らなければ行 けないのです。 もちろん、そうしようとすると、自然に肘を軸に動かすのではなく、上腕を 動かしはじめます。そうすると、結構無理のある動作を強いられます。腕が すぐ疲れてくるのです。 そこで、上半身全体で生地を送るように教えられました。 ◆ 姿勢と定規の使い方が大切 最初は、「もっとからだが疲れるんじゃないか?」と思ったんですが、意外 にそうではないんですね。このことは、のちのち、縫製能率研究所(現・縫 製研究所)で学ぶことになるのですが、体の一部だけを動かそうとするより、 体全体を使った方が疲れないんです。 同じ所に立ちっぱなしの方が、少々動き回るよりも疲れるんですよね。 まっすぐ縫う最大のコツは、生地の送りに合わせて、体全体で補助すること を知りました。縫う姿勢が大切なのです。 加えて、定規類をうまく使うこと。 フリーハンドでまっすぐ線を引くのは難しく、定規を使えば簡単なように、 家庭用ミシンをはじめとする本縫ミシン(ボビンを使うミシン)なら、ステッ チ定規やマグネット定規を利用したり、ロックミシンなら切り代ガイドを利 用することで、まっすぐ縫えるようになるわけです。 とはいえ、説明を聞いたときは、なるほどと頭で理解できるのですが、実際 にできるようになるまでは、それなりに時間が掛かりました。でも、聞けて いなかったら、しらないままだったと思います。遠慮せずに聞ける人がいた のは大きかったです。 ◆ どんな糸調子ならキレイなの? さて、これまでの指導で、少しはまっすぐ縫えるようにはなったものの、ど うにも分からなかったのが糸調子です。 「どうなればいいの?」ということで、ベストの縫い見本を見せてもらうこ とにしました。 しかし、正直、どこがどう良いのか?、なんでこれならキレイなの?という レベルです。ロックミシンの場合はとくに、弱めの糸調子でバランスが取れ ているのがいいと言われたのですが、ピンときません。 バランスが明らかに悪い物は、私でも悪いことが分かりますが、バランスは 取れているけどキレイじゃないといわれる縫い目があり、もうちんぷんかん ぷんです。 ◆ 糸調子ダイヤルをいくつに合わせたらいいんですか? ふと見ると、当時私が携わっていた機種には、糸調子ダイヤルに数字が書い てあります。 さっさと仕事をこなせるようになりたいですし、数字で憶えたら簡単そうで す。同じミシンは、それぞれ決まった糸や素材で縫うのですから、そうは変 わらないだろうと思ったんです。 それで上司に、それぞれどの数字に合わせたらいいかを尋ねました。他の人 もそうしているものだと思っていましたし、これでバッチリだと思ったんで す。 しかし、その返事は予想に反するものでした。 「バカかおまえは?! ミシンが縫うのは柔らかい布や糸やぞ? 数式みたいに決まった答えが出るわけがないやないか!? 目の前の縫い目を見て判断できないで、まともにミシンが扱えるようにな れるか!!」 今思えば、あのとき私の甘さを叱ってくれたから、糸調子を合わせることを 難しいと思わなくなったのだと思います。次回は、どうやって糸調子を理解 できたのか、その辺りの内容を紐解いてみたいと思います。 ◆ご意見・ご質問・体験談など、どんな些細なことでもかまいませんので、 メールをください。おもしろいと思ったものは、このメルマガでご紹介し たいと思います。 → mag@shimada-mishin.com ======================================================================== ミ シ ン の 『 そうだったのか! 』 〜 ミシンの嘘・ホント、それって常識?! 【発行者】島田ミシン商会 嶋田栄司 【WEBサイト】島田ミシン商会 http://www.shimada-mishin.com/ ご意見、ご感想はコチラまで→ mag@shimada-mishin.com ※)いただいたメールは、予告なく本メルマガに掲載させていただくことが あります。その際、抜粋・編集する場合がありますので、あらかじめご 了承ください。掲載不可の場合は、その旨お知らせください。(お名前 はご希望がない限り掲載しません。また、個人の特定にいたる情報は除 いて掲載します) ◎このメールマガジンの転送は自由です。 ただし、掲載された記事の内容を許可なく転用・転載することを禁じます。 Copyright(C)2004 島田ミシン商会 All rights reserved. ▼このメールマガジンは以下の配信システムを利用しています。 『まぐまぐ』ID:0000115447 http://www.mag2.com/ ▼登録の解除は下記URLにて、ご自身でお願いします。 http://www.mag2.com/m/0000115447.htm ▼いたずらで登録されたと思われる方は、『まぐまぐ』にご相談ください。 『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ (『まぐまぐ』からのお知らせメールの登録・解除も同様です) ======================================================================== 編┃集┃後┃記┃ ━┛━┛━┛━┛ 全国各地で災害が起きています。 特にライフラインで被害を受けられている方はたいへんでしょう… テレビなどで状況を見ながらも、これはほんの一部の出来事で、 大小に関わらず被害を受けられた方は、もっともっと多いんだと思うと、 なんとも胸が痛く、無力な自分をもどかしく思います。 災害だけでなく、商売や人付き合いも全て、 自己の利益だけを考えるのではなく、共存共栄を考えなければいけない、 また同じようなことを思ってくれる方々と、次のステージを目指したい、 仲間意識を持ってお付き合いしていきたい… そんなことを強く思っています。 今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 次回は、11月30日の発行予定です。 それではまた。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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