──────────────────────── 2004年11月30日 第20号 ┌──────┐┌┐ │ ┌──┐ │└┘ ミ シ ン の 『 そうだったのか! 』 └┬┘ │ │ 〜 ミシンの嘘・ホント、それって常識?! ─────┴─┴──────────────────────────── ◎本メルマガは等幅フォントが最適です ▼ 目次 ●ごあいさつ ●まっすぐ縫えない、糸調子が取れない…(その2) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ごあいさつ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ いつもご愛読いただいているみなさん、こんにちは! そして今回からお読みいただいているみなさん、はじめまして! 島田ミシン商会の嶋田栄司です。 数あるメルマガの中から選んでいただき、ありがとうございます。 今後ともご愛読をお願いします。 このメールマガジンは、 これからミシンを購入したい、 ミシンのことをもっと知りたい、 もっと上手に使いこなしたい… そんなホームユーザーのあなたが、誤った知識で後悔しないように、 ミシンの嘘・ホントの解明を通して、ミシンの常識や活用のヒントをお伝 えしていきます。 このメールマガジンが何かの役に立って、今まで以上にホームソーイング を楽しんでいただけたら最高です。 気に入っていただけましたら、お知り合いに転送してすすめてくださいね。 ▼バックナンバーはこちら http://www.shimada-mishin.com/mailmag/backnum.html ──────────────────────────────────── ■ まっすぐ縫えない、糸調子が取れない…(その2) ──────────────────────────────────── ミシンの事なんて何も知らなかった私は、JUKI(株)の工場で、ロックミシ ンの試縫い課に回された時、 ●まっすぐ縫えない! ●糸調子が分からない! ●まともな縫い見本が付けられない! レベルでした。 姿勢を直され、なんとかまっすぐ縫えるようになったものの、糸調子がちん ぷんかんぷん。「ダイヤルをいくつにすれば糸調子が合うんですか?」と尋 ねたところ、「バカかおまえは?!」と、叱られてしまいました(泣) ▼前号の内容 http://www.shimada-mishin.com/mailmag/backnum/20041026.html ◆ 糸調子の難しさに、糸の本数は関係ない 最初、「ロックミシンは糸が3本も4本もあるんだから、糸調子を合わせるの はたいへんだ」と考えていました。しかし、そうではなかったんです。 メーカーから店に戻ってきて、家庭用の2本糸ロックを修理したときに実感 しましたが、2本糸ロックのほうが遙かに難しかったです。というのも、微 妙なバランスが要求されるからです。 片方の糸をちょっと締めると、もう一方が引っ張られます。更にもう一方を 締めると、バランスは取れても、今度は柔らかく包み込むような縫い目にな りません。一方を緩めるともう一方が…の繰り返しになってしまいます。 なぜこんなことになってしまうのかというと、基準を持たずに調節しようと するから、だったんです。 ◆ 全部いじったらダメ! ロックミシンの縫い目をほどいてみると、針糸はどうなっているでしょうか。 表から見ると直線で、裏側に、ちょこんちょこんと見える形です。 ごく一般的な家庭用ミシンだと、下糸調子を調整することがまずありません。 機種によっては、触っちゃダメと指導されます。 何が言いたいかというと、何かを基準にしなければ、糸調子は合わせられな いということです。そして、その基準の糸調子に対して、他の糸の調子を合 わせる。そして、各ミシンで、どの糸を基準にするのか決まっているという ことです。 この原則は、ロックミシンだけに限らず、どのミシンにも言えることです。 糸の本数が多くてたいへんそうに見えるロックミシンでも、針糸調子をそう そう調整し直す必要が無く、残り2本のかがり糸が合わせられればよいので す。 あれもこれも全部動かしてしまうから、余計に合わなくなるのです。糸調子 の基準になる糸を知り、それに合わせて、他の糸のバランスを取ることを教 わりました。 ◆ 「いかに糸調子が難しいか」を説明すつ販売員は… ちょっと脱線しますが、チラシで見た安い家庭用ミシンを注文すると、納品 に来た販売員が、「いかに糸調子が難しいか」を、汗水垂らして実演してく れるそうです。 下糸調子を決めて、上糸調子を動かして、また下糸調子を…とするんだとか。 こういう人には、ハッキリ言ってやりましょう!! 「あなた、ホントにプロなの?」と。 その販売員は簡単そうにやっていたけど、自分には難しかったというのは分 かりますが、プロである販売員でさえ合わせるのが難しいミシンです。それ を初心者のお客さんに平気で買わせようとするなんて…。 ちょっとムチャクチャですよね(苦笑) ◆ ここではじめてダイヤル数値を使う 話を元に戻します。 昔のロックミシンを触ったことがある方なら分かると思いますが、ダイヤル には何も書かれていません。とりあえずの基準の位置さえ分からなければ、 「さっきは締めたっけ?緩めたっけ?」と、何をどうしたかさえ忘れてしま うことがあります。 その意味で、ダイヤルに数値が書いてあったり、何らかの印があるのは便利 なのです。そう言う使い方さえできれば、糸調子はもっと簡単に感じられる のです。 柔らかい布や糸を相手にしながら、「この数値で合うはずだ」という凝り固 まった思い込みが、現物を見ることを忘れさせてしまうのです。 ◆ 糸をほどいて長さを比べてみた さて、そうして教わった私は、ばっちり糸調子が合わせられるようになりま した!……と、言いたいところですが、そうは問屋が卸しません。 バランスは取れるようになったんですが、なんかキレイじゃないんです。お 手本と比べても、なんか違うんです。 見本のロックミシンの縫い目は、なんか丸まったような、柔らかい縫い目な のに、私の物は妙に直線的。でも、生地端で上下の飾り糸は交差しています。 バランスは取れているようです。 そこで、糸を全部ほどいてみました。 何をしたかって? 全部の糸の長さを測って、比べてみたんです。 そうすると、私の取った糸調子は、見本よりも明らかに糸が短いんです。 ようするに、「締めて、締めて、締めて」調整していたのです。 このとき、デニムの生地を縫っていたので気づきませんでしたが、メリヤス 地を縫っていたら、引っ張ったとたんに糸がブチブチ切れていたでしょう。 ブロードだったら、縫いじわがたくさんでて、引きつった感じになっていた でしょう。 きれいな糸調子にするためには、素材と厚さに適した糸の量を使って、各糸 のバランスが取れなければいけないのです。ボビンを使う本縫ミシンの場合 は、縫い強度も一緒に考えなければいけません。 ◆ キレイな縫い目が分からないと、糸調子の合わせようがない 糸調子をきつく締めすぎていた(使う糸の量を少なくしようとしていた)こ とが分かったので、もらった見本を参考に、今度は緩めながら調整していき ました。各糸のバランスが取れ、やっと、見本と同じ縫い目になったのです。 ここではじめて、上司から「ダイヤル数値の使い方」を教わりました。 まず、理想の糸調子がある。 それに対して、今の糸調子はきついのか?、それとも緩いのか? 今の状態を基準に、どの程度緩めた、強くしたを判断するために、 ダイヤル数値を利用するのです。 「理想の縫い目」が分からなければ、目指しようがないのです。その理想の 縫い目に、どうすれば近づけるかを考えれば、糸調子はけして難しくなかっ たのです。その上で、糸色を変えたり、わかりやすくする工夫が活きてくる のです。 同じ素材名や糸種でも、個体が変わると微妙に糸調子も違います。それでも、 いくつもやっているウチに、自分の目で見て、どの糸がどうなのか、すぐ判 断できるようになってきました。 あのとき、ダイヤルの数値にこだわり続けていたら、いまだに糸調子を合わ せられなかったかもしれません。やっと、まともな縫い見本が付けられるよ うになったのです。 この後、営業所経験のある主任のアドバイスで、更にいくつかの実験をした ことで、糸調子に対する不安を解消できるようになりました。いったい、何 をしたのでしょうか? 次回はその体験をお話しできればと思います。 ◆ご意見・ご質問・体験談など、どんな些細なことでもかまいませんので、 メールをください。おもしろいと思ったものは、このメルマガでご紹介し たいと思います。 → mag@shimada-mishin.com ======================================================================== ミ シ ン の 『 そうだったのか! 』 〜 ミシンの嘘・ホント、それって常識?! 【発行者】島田ミシン商会 嶋田栄司 【WEBサイト】島田ミシン商会 http://www.shimada-mishin.com/ ご意見、ご感想はコチラまで→ mag@shimada-mishin.com ※)いただいたメールは、予告なく本メルマガに掲載させていただくことが あります。その際、抜粋・編集する場合がありますので、あらかじめご 了承ください。掲載不可の場合は、その旨お知らせください。(お名前 はご希望がない限り掲載しません。また、個人の特定にいたる情報は除 いて掲載します) ◎このメールマガジンの転送は自由です。 ただし、掲載された記事の内容を許可なく転用・転載することを禁じます。 Copyright(C)2004 島田ミシン商会 All rights reserved. ▼このメールマガジンは以下の配信システムを利用しています。 『まぐまぐ』ID:0000115447 http://www.mag2.com/ ▼登録の解除は下記URLにて、ご自身でお願いします。 http://www.mag2.com/m/0000115447.htm ▼いたずらで登録されたと思われる方は、『まぐまぐ』にご相談ください。 『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ (『まぐまぐ』からのお知らせメールの登録・解除も同様です) ======================================================================== 編┃集┃後┃記┃ ━┛━┛━┛━┛ ようやく寒くなってきて、「ちょっとは秋らしくなってきたなぁ」 なんて思ってたら、明日から師走です。 この調子だと、今年もあまり重衣料が売れないのかな、と感じています。 BSで槇原敬之氏の、オーケストラと一緒に演奏したライブを見ました。 なんて言うんでしょう。演奏者と観客、裏方が一緒になって演奏を楽しんで いる一体感に、すっごい感動してしまいました。 それで、昔のアルバムを引っ張り出して、また聞き直したりしたんですが、 ほんの数枚前のアルバムと比較しても、明らかに今の方が歌がうまくなって いるんですよね。 歌の好き嫌いは感覚的なもんですから、ファンであってもいろんなことを思 うんですが、今までに無い物をどんどん引き入れつつ、常に最高を求め続け る姿勢に、敬意を感じる次第です。 今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 次回は、12月28日の発行予定です。 それではまた。それまで、お風邪などひかれませんように。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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