家庭用ミシンは、煩わしい調整項目をできる限りはぶいて「押入から出してきても、すぐ使える」ことを目指しています。 自動糸調節などの機能でユーザーに負担を掛けないように設計されています。
毎回片付けなければならない環境のため、軽いミシンが求められることもありますし、 自動調整機能などで難しさを感じさせないようにしていたりします。 ボタン操作によるスタート・ストップも、設置する煩わしさを軽減するようです。
一方職業用ミシンは、しっかり縫えることが重要ですので、必然的にミシンも重くサイズも大きくなっています。 長く調子よく縫うためには、油さしも欠かせません。 フットコントローラーがなければ使えませんし、 ボビンケースを利用することについても、水平釜に慣れた家庭用ミシンユーザーには、ちょっとしたハードルになるようです。
しかし家庭用ミシンは、細かな調整をさせないことで難しさを隠します。 調節項目を極力少なくしていますので、縫製トラブル(故障ではない)への対応に限度があります。
さらにミシンの品質や能力もピンキリですので、トラブルはミシンの品質が原因なのか、 生地や糸、それともユーザーの技術の問題なのか、判断しにくいところです。その点職業用ミシンは、ベースは各メーカー1機種だけ、機能の有無でモデルが分かれています。 例えば、家庭用ミシン針仕様か工業用ミシン針仕様かによる差はあっても、釜やモーターなどは同じです。 モデルの違いは、部品や調整できる箇所が多くなっていることで縫える能力範囲を広げており、 基本となる送り力や貫通力と言ったものに差がありません。
縫いたいものがうまく縫えないときの苦痛や手間を考えれば、 手軽さよりも、しっかり縫えるミシンのほうが、かえって気楽に使える場合もあるでしょう。 自分にとっては大事なのは何かを考えてみましょう。